Kamio & Thomas (1999) が彼らの仮説の例外として扱っている I’m glad/I’m sorry to hear it. を取り上げ、I’m glad to hear that., I’m sorry to hear it. との互換が可能なことを示した。また、電子コーパスの The Corpus of Contemporary American English をデータとして、I’m glad では to hear that と to hear it の使用頻度に大きな差は生まれないが、I’m sorry では to hear that のほうが多用される傾向があることを明らかにし、その理由を指示詞 that の使用が語用論的に生み出す含意(感情的色彩)に求めた。喜ばしいことを聞いた場合と気の毒なことを聞いた場合では、相手への強い連帯感(相手に寄り添う姿勢)の表出をより求められるのは後者であろう。それゆえ、同情を表す I’m sorry を,共感を含意する that と結びつけると相乗効果により、強い連帯感を伝えられる。一方 I’m glad は、I’m sorry と比べれば、相手への強い連帯感の表出を求められる度合いが高くはないため、that の選択度が I’m sorry ほどは高くない。