「英語語法文法学会第17回大会」において発表した論考に加筆・修正を施したもの。いくつかの慣用的表現に含まれる代名詞itは、Kamio & Thomas (1999) の prior knowledge の観点からも、私の過去の論考で提起した平静指示性の観点からも、説明が困難であることを指摘した。そして、説得的な説明のためには、これらの it を、前方照応の it としてではなく、表面的には現れないが潜在的に存在している補文を指示する形式主語としての it (preparatory it) として分析すべきであると主張した。