GDP(国内総生産)と景気動向指数は内閣府からそれぞれ発表される重要な指標である。両者とも経済活動の総合的な動きを捉えるものだが、両者の関係は明らかではない。本稿では、両者の違いと類似点を明らかにしつつ、経済変数として長期的な関係があるかどうかを探る。両者の関係が明らかになれば、景気動向指数から実質GDPを推定することが可能になる。
その背景には、多くの都道府県では、県内総生産を推計する代わりに、景気動向指数を計算しているという事情がある。県民経済計算を計算するには膨大な時間的、財政的費用がかかるため、県民経済計算の速報化は進んでいない。直近の景気動向を把握するために、県民経済計算の速報値の代わりに景気動向指数を利用する自治体が多い。
確かに、景気の現状をとらえるには、景気動向指数は有用である。しかし、景気動向指数は他県との比較や地方ごとの集計などが難しく応用範囲が狭い。景気動向指数から県内内総生産を推定することで、県内総生産の速報化ができるかどうかを試みた。
実質GDPと景気動向指数の長期的関係を調べるために、自己回帰分布ラグ(ARDL)モデルで共和分関係を調べた。