16世紀装飾版画研究の最近の動向―ヒエロニムス・コックから出版された装飾版画を中心として―
跡見学園女子大学文学部コミュニケーション文化学科
第10巻
アントウェルペンの出版業者ヒエロニムス・コックから出版された装飾版画集について、2013年に開催された展覧会のカタログに述べられているこのジャンルの研究の最新の動向について紹介した。コックの装飾版画の大きな特徴である「シリーズもの」という着想が、16世紀前半のフランスで出版された同ジャンルの版画連作の影響を受けたとし、また独特の印刷法、製本法をもつというフーリングによる考察を検証し、賛同すべき点と、反論の余地のある点を指摘した。