イタリア初期エッチング研究序説
跡見学園女子大学文学部コミュニケーション文化学科
第11巻
エッチング(腐食銅版画)技法は、南北ヨーロッパでほぼ同時期に発生したとされるが、本稿ではイタリアにおいて最も早くこの技法で制作したとされるマルカントニオ・ライモンディと、ヴェネツィアにおいてこの技法の絵画的効果を追求した画家アンドレア・メルドッラ通称スキアヴォーネに焦点を当てて、両者の技法の特徴を論述した。とりわけ後者については、2017年初頭に東京で多くの作品が展観されたこともあり、1枚の版に複数の技法を用いることによる絵画的効果の追求について詳細に叙述した。