イタリアにおけるエッチング制作の揺籃期であった16世紀に焦点を当て、主な制作者の地政学的分類を述べた後、活動期の順に従って4人のエッチング制作者すなわちマルカントニオ・ライモンディ、パルミジャニーノ、スキアヴォーネ、ピットーニのエッチング作品の特徴を、特に最初の3名についてはビュランや木版などの他の技法とエッチングとの併用という問題について考察した。マルカントニオおよびパルミジャニーノの作品については、ウィーンのアルベルティーナ等での調査に基づいて所見を述べることができた。特に最近のパルミジャニーノ研究で、真作のリストから外される傾向にあるエッチングと木版を組み合わせた作例について、木版の併用により作者がいかなる効果を狙っていたのかを推論し、パルミジャニーノの真作とする見解を述べた。