ルネサンス美術における「個人の可視化」をめぐる研究序説
コミュニケーション文化第5号
P.35-P.42。個人の内面や思想を表現するためにとられた方法を、ルネサンス期に事例をあげて論じた。15世紀ではメダルの体裁に倣い、表面に肖像、裏面に象徴図像をえがいて両面をもって意味が完結する肖像画の例があるが、16世紀の例ではモデルの内面を示唆する事物(ときに文字を含む)を肖像画に描きこむ手法が見られ、その成立には同世紀における標章の流行が寄与した可能性を示唆した。