p.191~212
本論文の関心は日本社会において「ワーク・ライフ・バランス」が現実的になかなか進まない理由や背景、その方向性などについて再検討を試みることにあった。本論文において「ワーク・ライフ・バランス」が現実的になかなか進まない理由とその要因の分析の結果、現状認識として「ワーク・ライフ・バランス」が実際には「ワーク・ファミリー・フレンドリー」的考え方に留まっていること、そして日本の雇用慣行システムが阻害要因として作用することを指摘した。最後に政策的提案として「ワーク・ライフ・バランス」を働き方・働かせ方の問題としてのアプローチが重要であることと今後の方向性として「人事戦略としてのワーク・ライフ・バランス」を提案した。