本論文は、日本における非正規の正規化を図ろうとする、いわゆる正社員転換制度の導入の発想にある、現状においてのいくつかの問題を分析したものである。それは、最初からその組織の正社員と非正規から転換されてきた正社員との間の葛藤の問題やその転換正社員が認知する不公正による不満とモチベーションの低下などの問題などが存在することを明らかにした。そして今後の課題として、非正社員の正社員登用・転換の仕組みの設計を目先の非正規雇用の不満を眠らせるような対症療法的発想を超えて、人材の育成と登用、そして多様な人材の活用のため、既存の一貫正社員と同一水準の職務内容と処遇、権限と責任範囲を有するような発想へと転換させるべきであると指摘している。