本論文の目的は、現在議論されている非正規の正規化の一形態であるとされる、「限定正社員」という新たな雇用形態を巡る諸側面を分析することによって、限定正社員化が果たして非正規職問題を解決するために有効な意味を持つものなのかについて検討することにある。それは、近年の働き方改革の一環として、多様な働き方の議論の延長線上に提案されるものであり、多様な正社員化の議論の一種でもあると言える。
本論文で分析を行った結果、非正規職の問題を解決しようとする政府の意志が確認できる肯定的な側面はあるものの、現在、導入しつつある「限定正社員」制度は、やはり多くの限界があり、様々な次元で危険と再検証が必要であると結論付ける。