5頁 アメリカでは1980年代頃から健康に役立つ食べ方として「ホールフード」が注目されるようになり、それ以降、全粒穀物や野菜、果物など素材をできるだけそのまま食べることが推奨されている。実際に、循環器疾患、糖尿病、肥満、体重増加といくつかの癌についてホールフードの摂取によるリスク軽減が観察研究により示され、ヘルスクレーム(健康強調表示)も認められている。ホールフードに多く含まれるポリフェノールはフィトケミカルと呼ばれ、様々な生体調節機能を示す代表的な機能性成分として知られている。また、難消化性多糖類である食物繊維はヒトの消化酵素で消化されないために大腸に到達し、その過程で多様な生理機能を発揮する。本稿では現代の食生活にホールフードを取り入れる利点について、食物繊維と抗酸化成分を中心に解説した。