女子大学生における自閉症スペクトラム傾向と愛着との関係

跡見学園女子大学心理教育相談所紀要

第15号

佐藤美喜恵、宮岡佳子。近年増加している自閉症スペクトラム障害の発症に養育関係や愛着が関連しているかを探るために、女子大学生270名を対象に質問紙調査を行った。質問紙は、フェイスシート、自閉症スペクトラム指数（AQ)、内的作業モデル尺度（IWM)、被養育体験尺度（PBI)よりなる。重回帰分析の結果、AQに対し、IWM「SECURE」が 負の影響、「AMBIVALENT」が生の影響を与えていた。PBIでは直接の影響を与えていなかったが、IWMの点数で4類型に分類して一要因分散分析を行った結果、「安定型」がPBIの養護因子（CA)が高く、過干渉因子（OP)が低かった。自閉症スペクトラム傾向を生じる要因として、愛着や養育環境が発症要因に関与していることが示唆される。