成人発達障害はその症状特性から生活上に様々な困難を抱えている。そのため自己評価の低下やうつ状態などの2次障害をきたすことも少なくない。本研究では、精神科病院通院中の成人発達障害女性を対象に、「普段の生活」「人間関係」「学校・職場」の3つの場面別に困難と、もし対処をしていればその対処について記述してもらった。20例(自閉スペクトラム症6例、注意欠如多動症9例、2疾患合併5例)を内容分析的に検討した。「作業・時間管理」「掃除・片付け」の困難が多く、主に問題解決型対処スタイルがとられていた。一方「人間関係」では、対処の記述がないものや回避型対処スタイルが多くを占め、対人関係の対処の難しさが示された。人間関係の困難については、対処行動に焦点を当てるだけでなく、本人の内面に焦点を当てた支援の重要性が示唆された。本研究は、令和2年度跡見学園女子大学特別研究助成を受けて行われた。