成人発達障害者のコーピングに焦点を当てて、自尊感情と精神的健康との関連をさ調べた。精神科病院に通院中の成人で、発達障害と診断された患者に対し質問紙調査を行った。有効回答の74名(平均年齢33.9歳、男性53名、女性21名)について統計学的分析を行った。自己申告の病名では、自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)40名、注意欠如多動症(ADHD: attention-deficit/ hyperactivity disorder)17名、両疾患合併13名、分からない4名であった。重回帰分析の結果、コーピングのうち、情緒的サポート希求と認知的再解釈は、自尊感情に正の影響を与えていた。感情表出は精神的不健康に正の影響を与えていた。性別と疾患分類を2要因とする分散分析では、ASD・ADHD合併群は、ASD群、ADHD群よりも自尊感情が低かった。自尊感情、精神的不健康は発達障害の二次的問題ととらえることが出来る。コーピングにより二次的問題が軽減あるいは悪化することが示唆された。本研究は令和2年度跡見学園女子大学特別研究助成を受けて行われた。