pp.175-200
沖縄の民間巫者であるユタは、ホラー映画や漫画などサブカルチャーは頻繁に取り上げられているものの、世界遺産などハイカルチャーの部分では、まだまだ非正当的扱いをされる場合も多い。ユタが示す価値観は、「トートーメ(位牌)問題」等にみられる保守性と、時代に合わせた柔軟性・革新性が混在する両義的なものであり、批判もある。^ しかしながら、桜井徳太郎も指摘しているように、沖縄の宗教を考えるには「周辺的」で「非正統的」とみなされてきたユタへの視点も欠かせない。^ 本稿では以上のような観点から、衰退しつつあるカミンチュ(祭司)に代わり、ユタ(民間巫者)が今いかに人々の心を癒し、地域再生の一助となり、文化表象としての役割を担っているのかを明らかにした。