A Society Accepting of Spirit Possession: Mental Health and Shamanism in Okinawa
E/B C.Harding,Iwata F.,Yoshinaga S. "Religion and Psychotherapy in modern Japan" Routledge, London and New York
近代西洋医学において、「憑依」は治療されるべき精神障害のひとつとされ、否定的に捉えられることも多い。しかしながら、近代化以降も「憑依」が排除・隔離の対象とはされず、むしろ肯定的に捉えられている沖縄のような社会もある。その要因として、沖縄では戦前は精神病院が設立されなかった点、精神障害関係の法律がアメリカ統治時代は日本本土とは異なっていた点、戦後医療では「憑依(狂気)の有用性」が精神科医により指摘され、カミダーリなど沖縄にみられる憑依を「病気」という枠に当てはめ治療することに疑問がなげかけられた点などを挙げた。これら諸点により、憑依の一部は今なお「聖なる狂気」として人々の間で神聖視され続けていることを指摘した。