本稿では、沖縄におけるユタといわれる民間巫者が行う巫術・占術の従来の方法と現在の展開に関して論じた。これまでの著名なユタの研究書や映画、筆者自身の調査などから変遷を追った結果、ユタの扱う内容が、埋葬や供養儀礼など死の領域に関しては急速に狭まっている反面、運勢をみたり先祖の系譜を正したりする判示(ハンジ;判断)は拡大しているということが分かった。また、1970~80年代までは占術として米占いがみられたが、1990年代以降はあまりみられなくなり、代わってハンジでは線香や運勢歴などの本が多用されるようになったことも分かった。さらに現在は、「ユタの境界を生きる人々」が現れ、タロットカードやオラクルカード、レイキヒーリングなどニューエイジ的な占術も取り入れた巫術を実施していることも明らかとなった。