pp.153-165
M.ウェーバーなどの社会学者たちは近代を「脱魔術化」(「脱呪術化」)の過程と捉え、魔術(呪術)のような前近代的なものは近代化のなかで区分・周辺化され、正当性を奪われていくとした。だが、本稿では現在は「世界宗教/魔術」=「正統/非正統」という単純な二項対立が揺らぎ始め、その過程で周辺化された魔術などが脱周辺化し始めたことを指摘し、現在は「再魔術化」の時代と位置づけた。この現象は文学の世界にも現れており、例えば沖縄を題材にした作品にもユタを詳しく描いた「シャーマニズム文学」とよべる作品群が出現していることを明らかにした。