pp.(26)-(38)
本稿では、意識変容やその専門家であるシャーマンに対し、人々はどのような評価を付与してきたのかについて、沖縄を事例に取り、その歴史的変遷を明らかにすることを試みた。その結果、明治以前は、為政者による巫女弾圧があったにも関らず、カミダーリなどの意識変容は神聖視され、肯定されることが多かった。しかし、明治以降、近代化が推進されるにつれ意識変容は人格の一貫性を欠き、国家に反するものとしてさらに政府から弾圧がかかり、否定的に扱われていく。戦後も近代化が進められるなかでは意識変容に対する評価は否定的だったが、最近、精神医学会や心理学会などでの評価を反映して、再度肯定的評価へと変化したことを明らかにした。