人口減少と少子高齢化が急速に進み、市場が縮小していく中にあっても地域経済が発展するためには、中心市街地活性化、地域活性化、商店街活性化、まちづくり、コミュニティビジネスなどの従来の発想に加え、観光による地域活性化の取組が不可欠になっている。我が国の地域力の現状は想像以上に弱体化し、今まで定住人口の拡大を求めていた自治体も、現実論として交流人口の拡大策の推進に舵を切っている。こうした状況下においては観光事業が交流人口の拡大=地域活性化に果たす役割は極めて大きく、新規参入で観光誘客に関する街づくりやイベントを仕掛ける市町村が大変多くなっている。しかしながら、その多くは何から手をつけて良いのかわからずに、行き先の見えない中で模索を続けている事例を多く目にする。今回の紀要においては小職が09年から現地入りし、観光による地域活性化指導を行っている高齢化率35%を超える岡山県高梁市を事例に、少子高齢化と若者の流失による地方都市の厳しい現状の中で観光による地域振興を実践するポイントを明らかにする。