監督庁はこの是正でローカル線運賃に対する1割程度の引き上げを目指していたが、全日空は8%程度の値上げに止めている。運賃改正は、外的要因によって航空各社の経営が苦境に陥ったとき、航空各社からの申し入れがあったときにのみ実施されるものであり、その意味では監督庁からの通達で実施された昭和40年代初頭のローカル線に対する運賃改正は、極めて稀であったと云える。運賃改正の目的は、国内線航空会社に対する保護育成という視角から、昭和30年代に実施されていた、ローカル線運賃における幹線運賃に対する割安な設定の是正にあった。
本稿は、規制下代の許認可運賃と航空会社経営の問題視角から、30後半以降の機材投資、運航コストの削減などを踏まえ、昭和40年代初頭にローカル線を対象として実施された国内線航空運賃の改正に対し、全日空が如何に対応したかを検討したものである。