「日本航空輸送株式会社の設立とその背景-昭和初期の民間航空政策-」
交通史研究会編『交通史研究』第29号
日本航空輸送株式会社は、昭和3年11月に、わが国最初の本格的な国策航空会社として設立されたものであった。同社設立に際し、政府は多額の補助金給付を保証し、同社を保護しようとした。本稿は、同社設立の経緯を考察し、国策会社としての同社の特徴とともに、同社設立において大きな役割を果たした児玉常雄(児玉源太郎四男)に焦点を当てつつ、同社と日中戦争開始前夜に当たる当時の大陸問題を中心とする植民地政策との関連性について明らかにしようとするものである。