2011年3月の東日本大震災によって大きな津波被害などを受けた被災地では、未だに約25万人が避難生活を送っている。多くの被災地がある東北地方の観光地への旅行需要の落ち込みも続いている。被災地を巡る「復興応援ツアー」が企画されているが、これに対しては、「観光プログラムとして正しいことなのか」という疑問も提起されている。しかし、阪神・淡路大震災の伝承を行う語り部の活動を分析した先行研究を踏まえ、東日本大震災被災地を訪問するスタディツアーにおける語り部の重要性について述べたい。また、被災地ツアーの課題として、リピーターが少ないことも指摘されている。被災者による語り部活動、歩く観光など、癒されたり、楽しみを感じたりしながら、災害の教訓が次世代に伝わるような観光の仕組みづくりが必要である。