公立学校における完全給食実施率(人数比)は、小学生が 99.6 パーセントであるのに対して、中学生は 81.5 パーセントにとどまり、大きな地域格差が残っている。比較的財政力が豊かな政令指定都市でも、中学の完全給食を行っていない場合がある。学校給食と就学奨励の歴史から見ても、公立中学校における完全給食実施率が全体の約8割にとどまり、給食のない地域で支給される生活保護または就学援助費には年間約5万円に相当する給食費分が加算されず、学校における昼食への支援がないという事実は重大な問題である。
本稿では、このような学校給食と就学奨励の歴史を踏まえ、2014 年度から「デリバリー方式」
による給食を開始した神戸市の給食実施前のアンケート調査と、2009 年度から親子方式による完
全給食を実施した北九州市における実施後の検証を参考に中学校給食実現の必要性と課題について考えたい。