東日本大震災は、その被害が広汎であり、かつ、原発避難の長期化が予想されるため、被災地から全国各地への避難が生じている。原発避難には、父親は福島県で引き続き勤務し、幼い子どもと母親などが避難する母子避難となる場合が多い。母子避難者は、避難先と福島の二重生活を強いられており、経済的困難に直面しているが、現行制度が避難世帯の二重生活を想定していないために必要な支援を受けることができないままになっている。災害救助法上、子どもも大人と同様の一人と扱うべきこと、乳幼児は、災害時要援護者として、優先的に住まいの確保が図られるべきことも救助の現場には浸透していない。また、行政による支援が十分かを市民がモニタリングすることも難しい。国および地方公共団体は、避難地における子どもの生活・就学状況を調査して、居住地に住民票があるなしにかかわらず必要な支援を行うべきである。(p.139- p.149)