原稿用紙160枚相当。本論考は、イスラエル建国後の1948年6月30日から7月4日までの5日間の閣議議事録である『暫定政府会合議事録』第4巻前半(イスラエル国立文書館蔵、ヘブライ語、使用分は同巻40~150頁)の内容を紹介した上で、主要論点、特にアラブ問題に関わる予備的考察を行うものであり、建国史を再検討するための基礎作業の第四弾である(紙幅の制約のため前篇と後篇に分け、本稿は前篇)。本論考で扱う議事録の主な内容は、第一次停戦末期に提示された「ベルナドット和平提案」をめぐる論議であり、抄訳として紹介する。本論考の論点として、イスラエル暫定政府の「主権」概念がベルナドット国連調停官や欧米諸国の「主権」理解と微妙にずれていたのではないか、またその「主権」概念自体がイスラエル政治において変容しつつあったのではないか、などの三点を提示するが、これらについての考察・結論は後篇で述べられる。