pp.449-494.「アラブの春」の端緒となったチュニジアの「ジャスミン革命」は何もない所に偶然起きた革命ではなかった。チュニジア革命の地下水脈となった同国のイスラーム主義者の民主化運動(1970年代~80年代)に10年前に注目していたのが、パレスチナ人政治学者アッザーム・タミーミーである。本稿ではチュニジアの第一党となったナフダ党党首であるガンヌーシーのイスラーム政治思想を扱ったタミーミーの著書を「再読」しつつ、そこに含まれた民主主義・市民社会・主権・人権・尊厳に関する普遍的な問題提起を取り上げ、これらの概念が内包してきた西洋的偏りについて今日的文脈の中で再考する。