本稿では、日本語の断りのメール文で韓国人学習者(KJ)が日本語母語話者(JJ)と異なる働きかけ方をする背後には、(1)「母語規範」に基づく運用と(2)「目標言語規範」に基づく運用があるという仮説を検証するため、KJに対するインタビューの語りに現れたデータを分析した、。その結果、「母語規範」・「目標言語規範」に基づく運用の両方が行われていることが確かめられた。一方で、今回のデータからは、「母語規範」や「目標言語規範」の影響だけでなく、個人の社会経験や性格、発達段階に由来する「個人規範」がKJの働きかけ方に強く影響していたことが新たに明らかになった。