本稿では「新大久保の竹下通り」と呼ばれる通りの店舗看板を主な対象として、使用されている言語や文字にどのような特徴があるのかについて考察した。調査の結果、新大久保の竹下通り周辺に見られる多言語景観を形づくる要因として、アジア化が大きく反映されていることが明らかになった。ハングルを他の文字種と組み合わせて装飾的に使う点や、かなで韓国語の音価を表す点は、日本人客に、韓国らしさを強調する機能を持つものだと考えられる。また、類音性を活かして店名を付けるなど、命名側が韓国語と日本語の複言語能力を自由に活用している実態が明らかになった。