日本人が外国人の言語運用を評価する際、評価の結果だけでなく、その過程も含めて質的に深く掘り下げていく研究が不可欠である。そこで本稿では、外国人が書いた日本語手紙文10編を、3名の日本人(それぞれ評価者A、B、C)に読んでもらい、その過程で感じたことをPAC分析の手法で聞き出し分析した。その結果、評価者Aは「書き手の態度」という観点と「言語形式」という観点を分析的に使い分けていること、評価者Bは、「言語形式」を通じて「態度」を判していること、評価者Cは「言語形式」という観点をほとんど使わず、観察できる「態度」のさらに背後にある書き手の「人格」を問題にしていたことが分かった。(pp.122-134)