消費者調査の時系列データは,若年層の所得格差拡大が暮らし向き満足度の格差拡大につながっていないことを示している。経済的豊かさと暮らし向き満足の因果関係を構造方程式モデリングを用いて定式化し,要因間の影響関係を若年層と中年層で比較すると,若年層では,消費欲望や消費行動が経済力により大きく規定される一方,暮らし向き評価は経済力との関連が弱いことがわかった。調査によると,若年層では,友人・知人など身近な人を家計評価の参照集団とする人が多い。「人並み」「世間並み」というときの「人」や「世間」の意味の変化について明らかにすることの必要性を指摘した。