博士論文164p
本研究は、迫りくる巨大災害に対して、現場の責任者(板橋区防災課長、危機管理担当部長)としての視点と、国や他自治体の取り組みを改めて調査し、初期の狙いに対して現実に何ができ、何ができなかったかを考察し、今後の基礎自治体の防災・減災マネジメントのあり方について提言するものである。
基礎自治体の地域防災計画は、減災目標の設定と達成に向けた防災・減災マネジメントの概念が導入されていないため、中長期的な防災・減災が実現されないという課題を示した。その上で、防災・減災マネジメントの全体枠組みを示す防災基本条例の制定、各論での被害抑止・被害軽減・応急対応・復旧復興のステージにおける具体的かつ有効な政策実践及び研究成果の概要を示した。
板橋区での成果を住民調査により評価、考察するとともに、今後の課題が創発的マネジメント、人材育成、防災・減災の自治化であることを述べ、基礎自治体の防災・減災マネジメントの水平展開を提言した。