災害時に福祉避難所を必要とする人口は急増している。75歳以上の高齢者人口は阪神淡路大震災時の1995年に約718万だったものが、2020年には約1872万人と2.6倍にも増加し、単身高齢者は3.2倍になった。同じように25年間で、障がい者人口は62.5%、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は3.24倍にそれぞれ増加した。
一方、高齢者を中心に災害関連死が増えている。熊本地震においては、直接死が50人であるのに対し、関連死が218人(2021年3月熊本県)と4倍を超えている。関連死は、東日本大震災で約9割、熊本地震でも約8割が高齢者である。このような状況を受けて、2008年6月に作成された内閣府の福祉避難所のガイドラインは、2016年4月に改定され、2021年5月に再度改定された。
大事なのは、要支援者が自ら避難したい場所を自分で決められることだ。行き慣れた福祉施設や特別支援学校に避難したいという人のために、自治体は福祉避難所という選択肢を増やすことが重要だ。それが要支援者の早期避難を促し、また関連死防止につながる。