ロジャー・フライにおける感性的リアリティーの追究
『美學』美学会
第209号
美術批評の対象は論理的な方法によっては把握され得ない感性的な局面を有するという点に注目し、そこからラッセル論理学と乖離していくフライ批評の展開を辿った。フライの “Significant form”とは、芸術家が自らの作品に構築する造形的関係で、これこそが感性的リアリティーとされ、彼が追究したのは、この「関係」の有無ではなく、いかなる関係かという点であることを明らかにした。