ロジャー・フライの美術批評─―ラッセル論理学との関係─―
大阪大学大学院文学研究科美学研究室紀要『美学研究』
創刊号
フライの芸術理論の基盤には彼と同時代の思想、厳密に言えばバートランド・ラッセルの思想があることを提起し、フライの批評が20世紀中葉に隆盛を極めたアメリカのフォーマリズム美術批評とは一線を画することを示した。フライとラッセルの共通する術語「フォーム」は、ラッセルの論理命題においてもフライの芸術作品においても、形而上的な概念ではなく、これこれのものと記述できる実在の対象──構成要素の組み合わせ方──であることを検証した。