藤枝批評における「造形」と「反造形」の超克――「根源的なもの」への志向
ABST
8号
本稿では、藤枝が「芸術における形式的とは無関係で非正統的」と表現した「生の芸術」や「未知なる分野」と述べたアメリカの素朴芸術を題材として二〇世紀に発表されたさまざまな批評や論説を取り上げた。次いで、そうした芸術に対する藤枝自身の態度を検討し、そこから、藤枝晃雄の芸術観の深奥へと考察を進め、フォーマリズム美術批評の真髄が「ヴィジョン」にあることを明らかにした。