「観客の時代」の子ども――1950年代日本映画における年少観客の受容動向と観客調査
『演劇研究』、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
第38号
本論では、日本の映画産業が質量ともに絶頂を迎えた50年代の状況を取り上げ、その中で、早くから映画の主要な観客層の一部であり、当時も若年観客層の増加の影で固有の映画受容の場を形成していた、児童を含む年少の映画観客の実態を文献資料から検討することを試みた。さらに、50年代の年少観客の映画受容の固有性を探るために、主に映画教室運動や学校映画会などの、当時の「非劇場型」の教育目的の映画上映の実態について調査した。