形成期映画教育運動における実践と言説の一側面――児童観客の動向を中心に
『映画学』、早稲田大学映画学研究会
第24号
本論文では、主に1920年代後半の官民双方にわたる広範な映画教育運動の潮流が形成される時期を一つの分水嶺と看做し、それにいたる前の、日本における映画教育運動の形成期について概観的に検討していくことを主眼とした。また、その際に、分析の視角として採用したのが、小学生を中心とする「児童」(の映画観客)に関わる社会的実態と言説の動向である。さらに、児童観客と初期の映画教育運動の実態と言説の両面を相互に照応させて俯瞰することで、運動形成期におけるその両者の関係性を素描的に考察しようと試みた。