「民衆」はいかに教育されるか――高松豊次郎と大正期社会教育映画の主題
『映像学』、日本映像学会
第84号
本論では、1910年代から20年代にかけての胎動期の日本の教育映画の具体的な特性を検討するために、当時、特異な経歴を持ちつつも教育映画の作り手として精力的に活躍した高松豊次郎の事績を概観した。そして、そこで明らかとなったのは、当時の社会教育の主要な対象である都市下層部の「民衆」をめぐる映画とも関連したさまざまなイデオロギーを、同時期の社会教育映画が的確に反映していたことであった。