PP.47-61.(総ページ15). 本研究では,①研究知見の生成に関わる研究活動,②様々な研究知見に対して開かれた態度を持ちながらエビデンスに基づく臨床実践を行うこと,③心の健康に寄与する心理学的な知識や研究知見を広く社会に普及させていく活動について,日本の心理専門職や大学院生,大学教員がどのような考えや認識を有しているのかを探索的に調査し,心理専門職による研究活動を基盤とした専門活動の発展と,その教育訓練やサポート体制について検討することを目的とした。臨床心理士指定大学院の大学院生43名,臨床心理士養成に携わる大学教員17名,臨床活動に携わる心理専門職57名, 計117名を対象としたWeb調査の結果,①~③に関わる活動の重要性と共に,大学院生や心理専門職の認識や実際的な活動の展開を阻害または促進する可能性のある多様な要因が見出された。また,いずれの活動においても学部・大学院から大学院修了後にかけての適切な教育訓練・研修と共に,これらの活動を支える環境・体制,ネットワークづくりが不可欠であることが示された。最後に,心理専門職による研究活動と臨床的・社会的活動のつながりを発展させるために必要な取り組みと共に,本研究の限界と今後の課題について考察した。