PP.149-163(15ページ):金田一賢顕・ 原田眞理・鶴田信子・新井雅:本調査研究では,当事者団体の代表7 名に対して半構造化面接を行い,修正版グラウンデット・セオリー・アプローチ(M―GTA)を分析方法として採用し,当事者団体の形成プロセスにおける,その問題と治癒的効果を明らかにした。本稿では,まず当事者団体がもつ心理臨床学的な意義を考察し,時期ごとに求められる心理職の役割を検討した。その結果,避難者の心境も時系列に沿っての変遷があり,時期毎に問題が生じる一方で団体において「普遍的体験」「共有体験」「自助への目覚め」等の治癒的な効果が認められた。心理職は,移り変わる心境の変遷に沿いながら個別と集団の両方を見立てながら対応することで,対処および治癒的効果の促進が可能となると考察した。