本研究は, 臨床心理士や公認心理師を目指す修士課程の大学院生を対象に, 臨床心理学研究法の学習と共に, 心理専門職による研究活動を基盤とした多様な専門的活動に関する学びを行う教育訓練プログラムを試験的に作成・実施し, その効果について量的・質的に検討することを目的とした。臨床心理士指定大学院・公認心理師養成大学院の大学院生10名(修士課程1年生)を対象にプログラムを実施した結果, 各種の研究法に関わる学習と共に, 心理専門職にとっての研究活動の意義や重要性, 臨床活動と研究活動のつながり, 研究活動を基盤とした多様な専門活動の可能性に関する様々な学習体験が生じていたことが示された。その一方で, これらの活動を実際に進める際の難しさや不安や懸念, サポート環境・体制の不足など, 現実的な諸課題等が, 具体的なかたちで想起された可能性も示された。