本研究では,令和の日本型学校教育で重視されている個別最適な学びと協働的な学びの観点に基づき,心の健康に関わる知識やスキルを学ぶ心理教育の実践や研究の方法論について展望することを目的とした。これからの心理教育では,学校教育で伝統的に行われてきた,学級での一斉指導に基づく教育者主導の知識伝達モデルを超えた取り組みが必要であることが示唆された。具体的には,協働的な学びと共に,個別最適な学びを促す学習の機会や環境を積極的に提供しながら,学習者中心の知識創造モデルに基づく心理教育の実践・研究のあり方を模索し,子どもたちの心の健康に関わる資質・能力(コンピテンシー)の発達や育成に寄与していくことが重要になると考えられる。