PP.17-33. 柳 実悠・新井 雅: 本研究では, 中学校における生徒と教師の信頼関係と直接的いじめおよびネットいじめ被害時における担任教師への援助要請との関連を検討した。本研究で試験的に作成した教師による生徒との信頼関係構築尺度と共に, いやがらせ被害時における教師への援助要請尺度を用いて調査を行った結果, 中学生94名から有効回答が得られた。分析の結果, 担任教師の尊重・受容的態度が直接的いじめとネットいじめ被害時の両方において男女ともに教師への自律的な援助要請に正の関連がみられた。担任教師の行動や関係づくりが尊重・受容的態度であると感じている生徒ほど, 自助努力による問題解決を目指しながらも, いじめ問題が解決しない場合に教師に対し援助要請をする可能性が示された。一方, 指導・評価的態度は, 特に直接的いじめ被害時において, 男子では教師への自律的な援助要請と負の関連, 女子では教師への平気な振りと正の関連が示され, 援助要請に肯定的に解釈され得る有意な関連はみられなかった。