現在、直観や芸術的思考がビジネスのイノベーションを実現する発想術として研究されている。しかし、直観や芸術的思考については、科学的に検証できない部分も多く、理論化が困難であることもあり、必ずしも十分に考察していない。しかし、現在のようなさまざまな要素が動的に複雑に絡み合う世界では、これまでの論理的思考に加えて、全体を捉える直観的な感性と創造性を生む内省化された芸術的感性が重要であるため、その理論化が必要だと考えられる。そこで本稿では、感性・芸術・美という主題を扱う哲学的学問分野である美学が、どのように規定されてきたかという歴史的背景に注目することで、美学から生まれた芸術と企業経営との接面を事例とともに考察し、その関係性を明らかにした。