本稿は、近時のペット犬のファッション化における課題と、加害動物における飼主等の占有者責任について考察したものである。近年の動物愛護の精神の高まりにともない、動物の法的地位はゆらいでいる。諸外国の法においては「動物は物ではない」との原則が一般的である。他方、環境省の統計をみると、咬傷犬数は、野犬等ではなく飼犬による割合が増加している。このような咬傷事故に伴う損害賠償請求訴訟においては、飼主等の動物占有者の責任が問題となる。判例等を考察した結果、その責任は、いわゆる中間責任が機能しているのではなく、危険責任を背景とした判断がなされ、その責任がかなり重くなっている状況が明らかとなった。