江戸後期における資本主義の精神の萌芽 ―群馬県伊勢崎地域に注目して-
経営学研究論集
明治大学大学院
55号
本稿は,日本の近代資本主義の精神の萌芽が,江戸後期の群馬県伊勢崎地域に存在していた可能性について考察するものである。そこでまず日本独自の資本主義の精神の成立要件について整理した。続いて、江戸時代後期の伊勢崎地域の近代化に寄与したと考えられる郷学について考察した。その結果、伊勢崎地域において資本主義経済が勃興してくる過程で,その動きを人々の内面から推し進めていった心理的起動力,いいかえれば資本主義の精神 が、郷学を中心にした人脈の中に形成されていたことを明らかにした。