A Pale View of Hills に見る戦後の日本社会
英米文学手帖
第40号
作品の主要人物であるエツコとサチコは、それぞれの人生のある時期においてよく似た生き方をしている。2人は日本に生きにくさを感じ外国へ逃れるが、そこには抜き差しならない理由が存在すると考えられ、これを探ることによってこの作品が表象しているものを読み解いている。テクストに描かれている2人の女性の苦しみは、戦後国家によって煽動された「女性は家庭へ」というイデオロギーによって生じたものであると考えられる。