日本語の可能表現に関しては、金田一春彦(1951)では「細かい言い分けをしない」と指摘するが、中国語の可能表現は複雑な様相を呈し、各表現形式の間に微妙なニュアンスの違いがあるとされる。本稿は認知意味論からアプローチし、言語事実から"能”と“会”構文を中心とする可能表現のメカニズムを考察してみた。その結果、意味特徴として“能“は「動態的」・「臨時的」、"会“は「静態的」・「恒常的」、また構文的意味として"能“は「話し手は、「さまざまな状況の下、主語がある動作・行為できる」との判断を行う」、"会“は「話し手は、「常態の下、主語がある動作・行為できる(だろう)との推測を行う」ということが明らかになった。最後に第二言語習得の立場から可能を表す“能”と“会”構文の指導向上に向ける提案をしてみた。