まず現代の情報社会とはどのようなものか,「Society5.0」という政策をもとに概観した.そのうえで,情報社会の問題点を「情報の利活用」と「コミュニケーション」の問題点から整理した.ここでは,個人情報やプライバシーの侵害,肖像権の侵害,コミュニケーション上の誤解,批判から発展した炎上,なりすまし等の問題があることが明らかとなった.次いで,個人情報やプライバシーとの関連が深いパーソナルデータの提供に対する意識を確認した.パーソナルデータの提供には不安が伴うが,災害対策や公共政策という目的に対しては提供してもよいと考える傾向がある一方で,企業の経営やサービス向上に資する目的の場合は,提供の意向を示す割合は低くなることが確認された.しかし,自分自身へのメリットがあると判断されれば提供してもよいと考える傾向があることも分かった.最後に,情報セキュリティ10大脅威から,今求められているセキュリティ対策と倫理的配慮を確認した.情報の流出,不正利用への十分な対策が最も必要とされており,あわせて,ネット上での誹謗・中傷・デマ等モラル的な配慮を行うことが必要とされていることが示されていた.